アロマセラピー

心の癒しやリラクゼーションはもちろん、さまざまな効果が期待できるアロマセラピーに当院は積極的に取り組んでいます。

「香りとタッチングで患者を癒す 臨床アロマセラピストになる ~命のそばで寄り添うケアリングとは~」
 相原由花 著 BABジャパン出版 第5章 P200~P203より出典

アロマセラピーのリハビリテーション医療への導入

兵庫医科大学リハビリテーション医学 教授 道免和久

リハビリテーション医療は、QOLの医療と言われています。単なる延命ではなく、より高い人生の質を得られるように、運動療法を中心にあらゆる治療法を駆使する新しい医療です。患者さんのためになるのであれば、薬物療法、装具療法など以外にも、家屋評価や職場訪問まで、何でも実施します。このように私たちリハビリテーション医は、臓器や検査データだけではなく、常に人間としての患者さんをみつめています。ですから、リハビリテーション医療は、本当の意味で”全人的医療”と言われています。つまり本書でも紹介されている”ホリスティックメディスン”そのものなのです。

私は、関西リハビリテーション病院の非常勤医師として、日常の診療から先端リハビリテーション治療の導入まで、総合的にアドバイスをさせて頂いておりますが、病院設立以来主張していることは、患者さんやご家族の心の問題にも目を向けなさいということです。直接心の問題を治療することは容易ではありませんが、少なくともホリスティックメディスンの考えは早くから積極的に取り入れて、癒しの環境を整えたいと考えておりました。それによって、リハビリテーションの準備態勢が整い、疲労から回復し、少しでも治療が前に進みやすくなると考えたからです。その試みの一つが、アロマセラピーです。

私は、リハビリテーション病院にアロマセラピーを導入するにあたって、第一人者として名高い相原由花先生に相談しました。まず、医療を臓器の視点から人間の視点に変え、より包括的、全人的にリハビリテーション医療を推進したいという私の姿勢をご説明しました。そして、QOL医療としてのリハビリテーション医療と、ホリスティックメディスンの代表であるアロマセラピーは、スピリチュアルヘルスを究極の目標とする、明日の医療を創造するための強力なパートナーになるという私の説明に、相原先生は共感して下さいました。こうして、関西リハビリテーション病院にアロマセラピーを導入することが実現しました。

もともとアロマセラピーの効果については、心の癒しやリラクセーションの効果を期待しておりましたが、それ以外にもリハビリテーション病院に数多くおられる痛みの患者さん、あるいは、痙縮(けいしゅく)と言って、脳卒中の麻痺などによって筋肉がつっぱるような症状の患者さんにも効果を期待しています。もちろん、現状では保健診療ではありませんので、はっきり治療効果と申し上げることはできませんが、今後データを積み重ねることで効果が明らかになってくると思います。

現在、関西リハビリテーション病院では週に2日、それぞれ約6名ずつの患者さん、ご家族、職員等にアロマセラピーをしています。大変、評判が良く、身体や心が楽になると聞いております。安定的に患者さんが自らご利用されるようになれば、医学的効果についても是非検討したいと考えています。アロマセラピーを導入している病院は他にもあるようですが、そのような病院からは、姿勢として治療一辺倒ではなく、医療以外の面でも癒して差し上げたいという心が伝わってきます。そんな病院が増えることを望んでいます。今後、医療機関併設のアロマセラピーはブームになる可能性もありますが、ブームに終わらせるのではなく、治療の一環として確立することも願っています。

今のところアロマセラピーは、診療外の実施ですので、医師が処方することはありません。患者さんやご家族が自主的にアロマセラピーを受けている状況ですが、特にトラブルは伺っておりません。薬理効果が強いアロマなどを使う場合については、注意が必要かもしれませんので、今後の課題になると思います。また、リハビリテーション病院には、麻痺のこと、生活のこと、将来のことなど心の問題で苦しんでいる人が多いのと同時に、脳障害の一症状としてもうつ状態が発生しやすいので、そこは注意が必要です。最新医学の治療と同時に、うまく応用できればアロマセラピーの直接効果が出てくるかもしれません。なお、関西リハビリテーション病院では、個室でのアロマセラピー以外に、玄関ホールなどの共有スペースにもアロマを用いることで、病院に入って来たときから、癒しの空間が演出されるように工夫しています。これは相原先生からのご提案で、潜在的な効果があるようです。 アロマセラピーは、まだ医療関係者の間で、正しく理解されているとは限りません。緩和ケアなどでは一定の評価があるようですが、リハビリテーション医療の分野でも、科学的に検討を加えれば、多くの効果が証明される可能性があります。そういう可能性としての知識を啓蒙することにより、より多くの医療機関とアロマセラピストが連携することができたら、素晴らしい時代になると思います。そのためには、アロマセラピストの皆さんも、幅広い医療の分野を知って頂き、応用範囲を検討し、科学的研究として効果を証明して頂ければ幸いです。何よりも、「教師」はアロマセラピーを受けた人自身です。効果についてセラピーを受けた一人一人の声に謙虚に耳を傾けること、そして、協力する医師とともに、この新しい分野を開拓するフロンティアスピリットが大切だと思います。

アロマケアルーム「ライフタッチ」

関西リハビリテーション病院

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